冷酷社長と二度目の恋~極上御曹司は、変わらない愛執で愛する彼女を離さない~


再び時は、現在から1年前。


心愛が俺の前から姿を消してから約5年が経った。

今でも俺は心愛を想ってる。

『あの事件』の夢もよく見てしまう。

…『あの時』、もっと早く心愛を助け出していれば…。

…『あの時』、俺がストーカー男に油断しなければ…。

「――…心愛…っ」

自分のその声で、はっきりと目を覚ます。

「また、『あの夢』か…」

そう言って、首に素肌離さずに身につけているハートの真ん中をくり抜いたようなシンプルなデザインのネックレスを握り締める。

このハートのネックレスは、男女問わずつけられるデザインになっていて、俺が心愛にお揃いで買った物だ。

心愛が俺の前から姿を消した後も、彼女を想い手放せなかった。

このネックレスは、今の俺の「心」の支えになっている。

服の上から左脇腹に手を当てた。

あの事件から―――今年で5年経つ今も心愛を想って『あの光景』を夢に見て、目が覚めると傷跡が疼(うず)き痛む。

精神的な痛みだ。

ベッドから起きて、痛み止めを飲む。

そして、痛みが少し落ちたとこで、シャワーを浴びて出かける支度する。


今日は、12月25日。

留学時代から親友であり、ウチの会社と提携を結んでいる大手『TAKADAホールディングス』現取締役社長―――“高田夏彦(たかだなつひこ)”の結婚式。

夏彦は留学先では2年先輩になるが俺と同じ26歳だ。

同い年同士で同じ日本人ということもあって、よく話をするようになった。

お互いに『親友』と呼べる関係にようになった頃、夏彦にも『忘れられない彼女』がいる事を知った。

経緯は違うが夏彦も彼女―――“小日向深琴(こひなたみこと)”さんを『ある嘘』で彼女の心を傷つけてしまい、別れを告げられたらしい。

…そんなあいつが結婚するとはなぁ…。

俺より先に留学を終えた夏彦は今年の3月末に帰国して、『TAKADAホールディングス』取締役社長に就任したのだ。

そして、運命的な出逢いがあったらしい。

お互いに忙しく夏彦の『結婚相手』には、まだ逢っていない。

夏彦が帰国して、1年も経っていない。

…夏彦の『結婚相手』は、もしかして…。

そんな事を思いながら、俺はウチを出た。


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