七色の飴玉


――大好きでした。


それだけ伝えると、あたしは逃げるように家に入った。















次の日。
今日は、卒業式。
でもあたしは…


「お母さん…学校、休みたい」

「優?熱もないし…どうしたの?」

「ダルい…」

ピーンポーン

いきなりインターホンが鳴った。

「あら、誰かしら」

お母さんは玄関に向かった。

「はぁー…」

ダルい、なんて嘘。
本当は先輩に合わせる顔がないから休みたいだけ。


「優ー!渡辺さんが迎えに来たわよー!」


…まさか。
なんで、先輩が…

先輩を待たせるのは悪い、と思ってあたしは気は重いものの、速攻で準備して食パンをくわえて家を出た。

















「先、輩……っ」

先輩は一言も喋らない。
それに、いつもは歩調を合わせてくれてたのに、今はとても速くて追い付けない。
いつもの先輩じゃなかった。

なんで迎えに来たの?
なんで彼女さんと行かないの?

訊きたいことは山ほどあるのに、先輩に追い付くのが精一杯で、とてもじゃないけど、訊けなかった。





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