先輩のこと、好きになってもいいですか?
そんな、卑屈な感情しか抱けない。
階段を上り終えると、すぐ右にアルミ製のドアを見つけた。
それに少しだけ興味が湧いて、ドアノブをゆっくりと回して開けてみる。
中を覗くと、まだ部屋ではなかった。
奥にもう1つ、扉がある。
小さな空間には絵筆や絵の具などが散乱していた。
ここは、……美術室?
それにしては、普通の教室の扉と全く違ったけれど……。
このまま入っていいものなのか、入室禁止区域だったりしないか。
そんな不安はあったけれど、それ以上にわたしは扉の奥に興味を惹かれ、木製の扉をぐっと押し開けた。
足を踏み込ませた瞬間、木の香りが鼻を掠める。
そして、扉の先に広がるのは、わたしの予想と同じ美術室だった。
普通だったら並べて置かれている大きな机は、何ひとつない。ただ、そこには広い空間が広がっている。
大きな窓から桜の木々が見える。
ここは3階だから、ちょうど桜の木の頭が見えるのだ。