双子パパは今日も最愛の手を緩めない~再会したパイロットに全力で甘やかされています~
 夢で泣いたせいか、喉が痛いくらいカラカラだ。冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出し、ごくりと飲んでひと息つく。

 ふと菓子折りを思い出し、冷凍庫を開けた。

 昨日、母が持ってきた和菓子の手土産を手に取った。半分食べて、まだ半分残っている。

 母が手がけた新作だという菓子は、女性や子ども向けらしく、小鳥や動物の形をしていて、かわいらしい。和菓子職人としての腕も上げたようで、味も甘すぎずあっさりとして、とてもおいしかった。

 食べてみようかと一度は取り出したが、なんとなく食欲が湧かず、また冷凍庫に戻す。

 食べる気になれなかった訳は、さっきの夢のせいだ。

 もうすっかり忘れたはずなのに……。

 胸の奥に沈んでいたはずの滓が、ゆらゆらと心を濁す。






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