月とスッポン  奈良へ行く
券売所に向かい、拝観料を納めようと財布を取り出す。

「二人の支払いは私です」

私の前に立とうとする大河を押し除ける。

「車のお金はそちらなので、二人の支払いは私が払います」
「ですが、今回は私が無理に誘ったのですから。私が払います」

無理矢理連れてきた自覚があったのかよ。

そう突っ込みたかったけど、言ったら調子に乗りそうなのでやめておこう。

意味もなく奢られたくない。
対等な関係でいたい。

というか、そもそも私たちに関係などあるのか?
海がいるから、なんとなく繋がっているだけで、そもそも関わることのない人種同士。

私達は、なんなのだろう?

まぁ、これで関わる事がないはずだから、気にするのはやめよう。
このまま名前のない関係でいいではないか。
貸し借りなしでいたい。
後腐れがない様に。


「では、このまま寄らずに帰ります」

困った顔をするも、すぐにため息を吐き
「わかりました。茜の意見を尊重しましょう」
そう言いながら、一歩下がった。

よし、勝った!

拝観料を払い、中に入る。

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