本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。

3.傷ついて絆されて



「李愛さん、今日は泊まっていきませんか?」
「ええっ!?」


 と、泊まる!?


「彼氏と同棲してるんですよね?顔合わせるの嫌なんじゃないですか?」
「それは確かにそうだけど……」


 でも、私は一応まだ真潮と付き合っている。
 いくら真潮が私を裏切っていたとしても、同じ真似はしたくない。


「今日は帰るよ」
「でも、」
「出て行くにしても一度帰らないと仕方ないし。大丈夫だから」
「何かあれば言ってください。この部屋、カナのために借りたんで部屋は余ってるんです」


 やたらと大きくて広い部屋だと思っていたけど、カナちゃんのためだったんだ。
 カナちゃんみたいな大型犬を飼うにはこれくらいの広さが必要なのかも。

 お腹いっぱいになったらしいカナちゃんは、鷹宮くんにピトッとくっついて尻尾を振っていた。
 そんなカナちゃんの頭を愛おしそうに撫でる鷹宮くん。見ているだけで心が和む。


「仮にうちに来ることになっても俺だけじゃなく、カナもいますから。二人きりじゃないので安心してください」
「うん、そうだね」
「それに本気で口説くつもりでいるので――すぐに手出したりはしませんよ」
「っ!」


 た、鷹宮くんったら何を言い出すの……!

 やっぱり信じられない。
 鷹宮くんなら選び放題だろうに、どうして私みたいな地味な女を……?


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