本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。


 正直に言えば、鷹宮くんの告白は嬉しかった。真剣に想ってくれている気持ちは伝わった。

 だからこそ、なんで私?って戸惑うのだけれど……。

 いや、今はまず真潮とのことをどうにかしなければ。
 あんな風に裏切られて、もう今までの関係には戻れない。

 私は真潮と別れる決意を固めた。


「真潮と話す。そして別れる」
「李愛さん」
「そのためにも今日は帰るね」


 そう言った私に向かって、鷹宮くんはスマホの画面を見せる。


「これ……」
「あの二人がホテルに入っていく写真です。李愛さんの様子がおかしかったので、もしかしてと思って撮りました」


 そこに映っていたのは、真潮と浮気相手がホテルに入っていく瞬間を収めた写真だった。
 はっきりと真潮だとわかる横顔が映っている。女の方は顔は見えないけど、確かな証拠になるだろう。


「これ、私のスマホに送ってくれる?」
「はい、連絡先いいですか?」
「うん」


 私たちは自然な流れで連絡先を交換した。
 鷹宮くんのLIMEアイコンはかわいいカナちゃんだった。


「送りました」
「ありがとう」
「李愛さんとの初めてのやり取りが浮気写真なのが残念ですが……いつでも連絡してください。何かあったらすぐに駆け付けます」
「ありがとう、鷹宮くん。一人ではどうしていいかわからなかったと思うから……本当に助かる」
「李愛さん」


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