本気を出したクールな後輩は一途な盲愛で攻め落とす。

4.反撃と決別



 家を追い出されたというのに、とても穏やかな休日だった。
 鷹宮くんは何を作っても美味しい美味しいと喜んで食べてくれるし、カナちゃんはいつの間にか私の膝の上に顎を乗せて眠るようになっていた。

 日曜日は用事のため鷹宮くんは朝から出かけて行った。
 私はカナちゃんのお世話をしたり、一緒に遊んだり、夕飯の買い出しに行ったりして過ごした。
 人様の自宅、しかも家主がいないとなると落ち着かないけれど、今自分はペットシッターなのだと言い聞かせて自分のできることに励んだ。

 お散歩に連れて行ってあげて欲しいとも言われていたので、お昼ご飯を食べてから運動も兼ねて散歩に出かけた。
 空は一面青空で、のどかな風景が広がっている。

 こうやってのんびり散歩していると、嫌なことを忘れられるな……。

「ワンワン!」
「待ってカナちゃん、ほんとに元気なんだから」


 カナちゃんの頭を撫でると、気持ち良さそうに尻尾を振ってくれた。カナちゃんのおかげで心穏やかに過ごせている。

 改めてペットシッターという役割を与えてくれた鷹宮くんに感謝した。
 多分私に気を遣わせないようにという心遣いだったのだと思うけど、とても救われている。

 それにしても、鷹宮くんの急用って何だろう?
 仕事なのかと思っていたけど、それなら仕事だというはずだ。

 彼が帰宅したのは夜が更けてからだった。

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