不器用な生徒会長に初めての恋をした
*
桜がひらひらと舞う、出会いの季節。
学校にある桜の木を見つめ、心でそっと思う。
素敵な人に出会えますように。
*
「えっ……私が生徒会に?」
四月七日。まだ高校二年生になってすぐだというのに、担任の教師に生徒会に誘われた。
私は一応優等生で、去年は学年末定期テストで一位を取ったことがある。だから誘われたのだろう。
「そうなんだ。ぜひ米村に入ってほしくてな。……っていうか、生徒会長からの任命だ」
「生徒会長? 三年生ですよね?」
「ああ、そう。合川 健生徒会長だ。なんだ、知り合いじゃないのか?」
「……はい。話したこと、ないですけど」
合川先輩。名前も聞いたことがないし、もちろん話した覚えはない。それなのになぜ、私に生徒会を勧めてきたのだろう。
「まぁいい、とにかく生徒会に入ってみないか? 米村ならこの学校を支えられると思うんだ」
そんなことを言われたら断れない。昔から押しに弱い自分が嫌になる。
私は食い気味に頷いた。
「やってみます」
「ほんとか? 良かった、じゃあ早速放課後、生徒会室に集まってくれ」
ため息交じりに「はい」と返事をし、私は教室へ帰った。
*
「ここが生徒会室かぁ」
私はボソッと呟く。見るからに新しい部屋という感じだし、変な目で見られそうで入りづらい。先輩がいるなら尚更だ。
「失礼します……」
勇気を振り絞りドアを開けると、そこにはヤンキー座りをしていていかにも面倒くさそうな男性が座っていた。
何て声を掛けよう――?
「あ、あの……」
「ん? あぁなんだ、米村か」
「えっ」
この怖そうな人、何で私の名前を知っているんだろうと疑問になる。まさかとは、思うけれど。
「あなたが、合川先輩ですか?」
「は? 今更?」
「えっと……すみません」
私はしゅん、とうなだれる。入って早々、怒られたからやる気を無くす。合川先輩って優しそうな人かと思っていたのにこれじゃあまるで真逆じゃないか。
ヤンキーだったのかな……。
「米村朱里、っと」
そう言いながら先輩は名簿蘭に私の名前を記入している。
「あ、あの、合川先輩。……どうして私の名前を?」
米村朱里。正真正銘、私のフルネームだ。
「……あんた、正気か。俺を何だと思ってる」
「えっ、せ、先輩?」
「あほか、生徒会長だぞ。人の名前くらい把握できなくてどうする」
合川先輩はぷんすか怒っている様子だった。
ひえ、たぶんこの人、性格悪い。こんな人なら生徒会なんて受けなきゃ良かったかも、と今更後悔する。
「んで、見ての通りまだ俺とあんたしか生徒会にはいない。それに三年は俺以外誰も入ると言っていないそうだ。だから米村、あんたが副生徒会長を務めてくれ」
「……へ? 副生徒会長?」
待て待て、生徒会に入るとは言ったものの、副生徒会長なんて私には断然務まらない。
優等生だとはいえ、根は全然馬鹿だし、人前に出ることが苦手なのだから。
「まぁそれは俺がいるから大丈夫だ。あんたが少しだけサポートするくらいだし。てことでよろしく」
「……よろしく、お願いします」
何故か分からないが、断れなかった。合川先輩が隣りにいてくれるなら、大丈夫だと思ったから。
そして私は、この学校の副生徒会長となった。
桜がひらひらと舞う、出会いの季節。
学校にある桜の木を見つめ、心でそっと思う。
素敵な人に出会えますように。
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「えっ……私が生徒会に?」
四月七日。まだ高校二年生になってすぐだというのに、担任の教師に生徒会に誘われた。
私は一応優等生で、去年は学年末定期テストで一位を取ったことがある。だから誘われたのだろう。
「そうなんだ。ぜひ米村に入ってほしくてな。……っていうか、生徒会長からの任命だ」
「生徒会長? 三年生ですよね?」
「ああ、そう。合川 健生徒会長だ。なんだ、知り合いじゃないのか?」
「……はい。話したこと、ないですけど」
合川先輩。名前も聞いたことがないし、もちろん話した覚えはない。それなのになぜ、私に生徒会を勧めてきたのだろう。
「まぁいい、とにかく生徒会に入ってみないか? 米村ならこの学校を支えられると思うんだ」
そんなことを言われたら断れない。昔から押しに弱い自分が嫌になる。
私は食い気味に頷いた。
「やってみます」
「ほんとか? 良かった、じゃあ早速放課後、生徒会室に集まってくれ」
ため息交じりに「はい」と返事をし、私は教室へ帰った。
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「ここが生徒会室かぁ」
私はボソッと呟く。見るからに新しい部屋という感じだし、変な目で見られそうで入りづらい。先輩がいるなら尚更だ。
「失礼します……」
勇気を振り絞りドアを開けると、そこにはヤンキー座りをしていていかにも面倒くさそうな男性が座っていた。
何て声を掛けよう――?
「あ、あの……」
「ん? あぁなんだ、米村か」
「えっ」
この怖そうな人、何で私の名前を知っているんだろうと疑問になる。まさかとは、思うけれど。
「あなたが、合川先輩ですか?」
「は? 今更?」
「えっと……すみません」
私はしゅん、とうなだれる。入って早々、怒られたからやる気を無くす。合川先輩って優しそうな人かと思っていたのにこれじゃあまるで真逆じゃないか。
ヤンキーだったのかな……。
「米村朱里、っと」
そう言いながら先輩は名簿蘭に私の名前を記入している。
「あ、あの、合川先輩。……どうして私の名前を?」
米村朱里。正真正銘、私のフルネームだ。
「……あんた、正気か。俺を何だと思ってる」
「えっ、せ、先輩?」
「あほか、生徒会長だぞ。人の名前くらい把握できなくてどうする」
合川先輩はぷんすか怒っている様子だった。
ひえ、たぶんこの人、性格悪い。こんな人なら生徒会なんて受けなきゃ良かったかも、と今更後悔する。
「んで、見ての通りまだ俺とあんたしか生徒会にはいない。それに三年は俺以外誰も入ると言っていないそうだ。だから米村、あんたが副生徒会長を務めてくれ」
「……へ? 副生徒会長?」
待て待て、生徒会に入るとは言ったものの、副生徒会長なんて私には断然務まらない。
優等生だとはいえ、根は全然馬鹿だし、人前に出ることが苦手なのだから。
「まぁそれは俺がいるから大丈夫だ。あんたが少しだけサポートするくらいだし。てことでよろしく」
「……よろしく、お願いします」
何故か分からないが、断れなかった。合川先輩が隣りにいてくれるなら、大丈夫だと思ったから。
そして私は、この学校の副生徒会長となった。
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