再会したスパダリ社長は強引なプロポーズで私を離す気はないようです
「俺のことは許さなくてもいいです。けれど、千夏さんに再会して、今日から一緒に暮らせると思ったら今すぐ抱きたくなって」

「い、いいですよ」


「ほんと?」

「…うん」


「ありがとう千夏」

「ちょ…!」

そのままベッドのほうまでお姫様抱っこされた。


「自分で歩けるからっ」

「ダメ。俺がベッドまで連れていきたいんだ」


「っ…」

全てを許したわけじゃない。私は藤堂さんが突然消えて本当に悲しかった。いつも寂しくて、しばらく夜は毎日のように泣いた。

いつか必ず帰ってくると信じて、自分のアパートで待ち続けた。それでも藤堂さんは帰ってくることはなくて。


6年ぶりに再会したと思ったらスパダリ社長になって帰ってくるんだもん。誰だって普通は驚くでしょう?

本音でいえば再会できて嬉しい。なんなら、また一緒に住めるって聞いて、正直なところ飛び上がるほどテンションは上がっている。だけど、どうしても過去の寂しさが邪魔をする。再会して同棲するだけじゃ私の寂しさは埋まらない。だから、もっと私を求めてほしい。
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