結ばれなかった赤い糸
前と花火の両親は互いに仲がよく、よくホームパーティーを開いたり、別荘で共に過ごすことが多かった。前と花火も当然幼い頃から交流があった。

七歳のゴールデンウィークに、花火の家でバーベキューをすることになった。「こんにちは!」と元気よく出迎えてくれたいつもと違う花火を見て、前は胸の高鳴りを覚えた。

花火はお嬢様らしいワンピースを着ていることが多い。しかし、今回は真っ白なドレスを着ていた。そして手にはブーケを持っている。まるで花嫁のようだった。

「綺麗?花嫁さんみたいでしょ〜?』

無邪気に笑いながらクルクルと花火はその場で回る。風でドレスの裾がふわりと広がり、その光景に前は目が離せない。心拍数が上がり、顔が赤く染まっていく。その時、花火の母親が現れて何故このような格好をしているのかを説明してくれた。

「前くん、いつもの花火と違ってびっくりしたでしょう?最近親戚の結婚式にフラワーガールをしたの。その時に見た花嫁さんがとっても綺麗で、「私も花嫁になりたい!」ってずっと言っててね……」
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