迷路の先には君がいた

激震Ⅰ

 諏訪内芙蓉はスワンホテルグループを創った一族の娘、つまりはお嬢様だった。

 芙蓉は母と同様に大学からロンドンへ留学した。ホテル業や観光業を学ぶためだった。

 イギリスは王室や貴族院もあり、ホテルの教育は皇室のある日本同様厳しい。

 ニューレジェンドホテルグループの御曹司貝原繁は、五歳上の芙蓉の幼馴染。

 すでに自社ホテルで働いていたのにも関わらず、芙蓉が心配だし、英語を学ぶために自分も社会人留学がしたいと父親に頼んで芙蓉についてきた。

 彼の家は家族ぐるみで昔から付き合いがあった。ニューレジェンドホテルグループも海外客が多い。スワンと同じ傾向のホテルチェーンだった。
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