突然シンデレラ~王子様は実在しました~
王子様は実在した
 双子の姉としてこの世に生を受けて早二十年――

 ずっと、ずっと、助けてくれる王子様を待っている。王子様なんて、二十歳にもなって痛いやつだと思われるかもしれないけれど、現実逃避するほど家族に恵まれていないのだ。

 家族に虐げられてきた私は、幼い頃からシンデレラに憧れている。

 意地悪な姉はいないけれど、意地悪な母と根性の腐った妹、そして家族に無関心な父との4人家族。


 いつからだろう? 私達双子が、こんなに差別されるようになったのは……


 過去の記憶を辿ると、幼稚園のお遊戯会での出来事を思い出した。当時、プリンセスが流行っていて、ドレスでダンスを踊った記憶がよみがえる。

 双子で身長はほぼ同じ、体重だけが違った。妹の蘭々(らら)はスリムで、私は当時ぽっちゃりさん。母が妹の体型に合わせてドレスを選んだものだから、私には当然ピチピチで、本番ではくすくすと笑いが起こってしまう。

 しかも、双子というだけで目立つ存在なのに、母が私達にキラキラネームをつけたものだから、幼稚園では名前が知れ渡っていた。
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