運命に従ってみた

*危機感

私の5年って、大きなバック2個分しかなかったんだなぁ…

最後の洋服をバックに詰め込みながら

どうしようもない感情が溢れてしまいそうになる。


住居スペースの階段を降り
下の階にあるお店の厨房の方に行くと

仕込みをしている亮と亮のお母さんに


「お疲れさまです。
お世話になりました」


大きく頭を下げた。


「あ、あぁ…
今までありがとうな」


気まずそうに亮がそう言っている横で
亮のお母さんは見向きもしない。

まぁ…私の事あんま好きじゃないのは分かってたけど、最後までそんな態度しなくてもいいのに。


そのまま店の扉から外へ出ると
少しずつ歩き始めた。


良い天気だなぁ…
考えてみたら、こんなゆっくり外歩く事なんてなかった気がする。


それにしても…


5年、4万の給料で雇われて
もうすぐ結婚かな、なんて浮かれてた私に
浮気相手との間に子供できたから別れてくれっていうのも悪党そのものだけど

定休日の前日に別れ切り出すって
最後まで悪党だよなぁ。

あぁ、何だか

私の5年って、亮にとっては何の意味もなかった期間だったのかな。
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