悪女は今日、初恋を知る。



(こう)から離れなさいよ! こんの悪女が!!」

 べちゃっ。

 上級生の怒鳴り声と共にソフトクリームが、
 わたしの長髪にべっとり付いた。

 そんな昼休みを過ごすわたしは、花形(はながた)きよら、15歳。
 黒葉(くろば)高校に入学して一ヵ月経つけど、今日もこの通り、「悪女扱い」されてます。

 少し開いていた1階の廊下の窓をガラっと全開に開けて、
 わたしの隣にかっこよく飛び降りてくるさくら色の髪をした男子、
 世浪皇(よなみこう)くんのせいで。


「俺のきよらに何してんの?」

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