悪女は今日、初恋を知る。
わたしは顔を上げる。
さくら色の髪をした制服姿の男子が心配そうにわたしを見つめていた。
隣のクラスの、顔を見た瞬間惚れてしまう程イケメンな 皇くんが目の前にいて、わたしは驚き固まる。
「大丈夫じゃなさそうだな」
「何があった?」
皇くんの優しい問いかけにわたしは感情を抑えられなくなり、泣きながら事情を話した。
「そうか、辛かったな」
「花形さん、行く当てはあるのか?」
「ない、です」
「なら」
皇くんはわたしの前にしゃがみ、真剣な瞳で見つめる。