幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
稗田師長の話を遮り、俺は受け入れを許可した。

外科的要因はあるのかはわからないが、心肺停止状態の患者を放っておくわけにはいかない。考えられるのは心機能からだろうが、詳しくは検査をしてみてからだ。

外来中ということもあり搬送されて来る患者の検査オーダーを側にいた医師事務に託すと、救急車が到着するまでの間に2、3人の診察を終えた。

すると、救急外来に救急車が到着したと連絡が入る。


「ごめん、救急外来行って来る」


外来看護師の草壁さんに声を掛けて、俺は救急外来へと走った。

救急車の中から出て来た男性は、ストレッチャーに乗せられたまま救急隊に胸骨圧迫を繰り返されている。


「すぐに気管挿管、人工呼吸もだ」
「はい」


救急担当の看護師に指示を出し、俺は男性の左鼠径部から血ガスーー血中に溶けている気体(酸素や二酸化炭素など)の量を調べるための血液を採取した。

しばらくすると自発呼吸が再開し、SpO2ーー血液中の酸素濃度が100%になる。


「心電図して、すぐにHCUに入院。病棟上がるまでにメイロン静注とアドレナリンも投与」
「了解です」


俺の指示を受けた看護師がバタバタと動き始め、処置が施された。

蘇生継続により自発呼吸は再開したが、まだ弱い。入院させて、詳しい精査を行うのがベストだろう。
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