幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
4月のこの時期は年度始めでもあり、この生活習慣病健診を受ける患者が多い。

予約一覧を印刷して1人ひとり確認していくのだけれど、これが意外に大変な作業。だからこそ、白石さんがこの仕事を私に振ってきているわけなんだけれど、出来てないと先ほどのような小言を言われる。

ただでさえ大変な作業なのに、勤務年数がどうだとか全然関係のないことだ。


「それじゃあ私は帰るから。あとよろしく頼んだわよ」
「はい。お疲れ様でした」


と、いう言葉の裏には〝どうぞ、早く帰ってください〟という意味合いも含まれている。

彼女がいなければそれはそれで楽だし、残す仕事も掃除と診察室の施錠くらい。白石さんがいなくなったのを確認すると、私は7診まである診察室のデスクの消毒を始めた。

外科の診察室は1〜7番。内科より4診ほど少なく、そのうちの6、7番診察室は生活習慣病健診専用。当院では外科ドクターが日替わりで担当しており、異常があればほかの診療科への診察を勧めている。


「明日の担当医は、木村先生と、翔くん……」


デスクに挟んである外来担当表を眺めながら、独り言を呟く。

ーー翔くん。
とは、私の幼なじみ。

4つ年上の翔くんとは実家が隣同士で、小学生の頃はよく一緒に遊んだ。
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