幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました

思わぬ救済は幼なじみ

職場には必ずと言っていいほど、お局が存在しているような気がする。


「ねぇ、これ。まだ終わってないの?」
「すみません。今やります」

「まったく。この仕事を初めて何年経ってるのよ」


ぶつぶつ小言を漏らしながらその場を離れたのは、52歳の受付クラーク、白石さん。

別に、私の仕事が特別遅いわけではない。この街の総合病院でもある久々子(くぐし)総合医療センターの外科受付クラークとして勤務している私は、この4月で5年目を迎えた。

なので、この仕事が初めて……というわけではない。ただ〝若くて気に入らない〟という、非常にわけのわからない理由で1日1回は小言を呟かれる。

初めの頃はその嫌味たっぷりの小言に心を痛めたものの、5年目ともなればお手のもの。彼女のことを〝おツボネーズ〟なんて勝手なあだ名を付けて、同期である真理子と共に盛り上がっている。


「終わったの?」
「はい。もうとっくに終わらせてます」


再び受付に戻ってきたおツボネーズこと白石さんは、私の手元を覗き込む。

白石さんが私に頼んでいたのは、明日の生活習慣病健診として受診する患者さんの検査オーダー確認。医師の代行入力として医師事務が入力してくれた検査オーダーに漏れがないかを、順番に見て行く作業だ。
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