幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
「お前の勤める病院の近くに、花屋なかったか?」
「あぁ、あるよ。『フラワーショップ さくら』だっけな」


言われてみれば、久々子医療センターの近くに花屋が1件ある。

花とは一生無縁だと思っていた俺は出勤途中に店の前を通るくらいで、1度も店内に足を踏み入れたことはない。


「そこ、プロポーズ用の花束がすごいとかで有名らしいぞ」
「そうなのか?」

「あぁ。まず、そこで花束オーダーして、婚約指輪と一緒に渡す。バレないようにな」


そう言いながら、つまみの焼き鳥を口に放り込んだ浜岡。

なるほど。そういう一般的なプロポーズで充分なのか。

てっきり俺は、ヘリコプターを手配して、夜景を見ながらプロポーズする……もしくは、テーマパークのお城の前でプロポーズ、なんて。スケールのでかいことを想像していた。

未知の世界すぎて、こういう話しには疎い。


「まぁ、俺は超豪華客船でクルージング中にプロポーズしたんだけどな」
「おい。話が全然違うじゃないか」


素知らぬ顔でジョッキを手にした浜岡は、残りのビールをすべて飲み干すと、レモンサワーを追加でオーダーした。

やっぱり、俺もそれくらいするべきなのか?


「お前が1番いいと思って考えたプロポーズでいいじゃないか」
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