幼なじみの天才外科医に囚われたら、溺愛甘々生活が始まりました
今日の外来も忙しかった。

途中で癌疼痛に耐えられずに搬送されてきた患者さんの入院案内や、抗がん剤治療に訪れた患者さんが副作用による蕁麻疹が出現したとかで、看護師もドクターもバタバタしていた。

外来がひと段落したのは、13時前。合間に産婦人科に行こうとしたけれど、なかなか席を外せなかった。

ただ朝のうちに受付を済ませ、なんとか検尿だけは終わらせておいたので、あとは検査結果を聞くだけだ。


「白石さんすみません。ちょっと婦人科の受診を……」
「あぁ、今のうちに行けば? 私もお昼まだ行けてないし、早く帰って来てくれないと困るわ」


言い方はまだキツイけれど、最近の白石さんの嫌がらせは落ち着いてきている。そう言ってくれた白石さんにペコリとお辞儀をしてから、私は外科外来を出た。

産婦人科のクラークさんに声をかけて待合室の長椅子に腰かけながら、名前を呼ばれるのを待つ。

もしも妊娠していたら、翔くんはどうするかな……と、そんな思いが頭の中をぐるぐると巡っていた。


「お待たせしました。成田さん」


診察室から看護師さんに呼ばれ、ドキドキしながら診察室に入った。

中には40代くらいの産婦人科の女性ドクター、夏目ドクターが検査結果を眺めながら電子カルテを操作している。
< 41 / 48 >

この作品をシェア

pagetop