18 eighteen 母になる

第1話 出会い

「ごめん、やっぱり考えたけど紬(ツムギ)とはこのまま付き合っては行けない」


そう告げられたのは高2の秋


これからクリスマスだって彼の誕生日も控えていたのに
私の恋は呆気なく終わってしまった。


「紬 そんな落ち込まないで きっと次もいい出会いがあるよ うちの彼氏に誰か紹介してもらう?」
そうやって声をかけてくれるのは私の親友芽衣(メイ)


「いや、もう恋愛はこりごり! しばらくは自分磨きのためにバイトバンバン入って自己投資するし〜」


まだ心の傷は癒えていないけど必死に自分を取り繕う。
彼のことを本気で好きだったかと言われれば案外そうでも無いのかもしれない
付き合っていた期間私は確かに彼が好きだった
だけどなにか物足りなくて好きかどうか分からなくなってた時に彼から別れを告げられた。
良いタイミングといえばそうだったのかもしれない。
でもやっぱり何か心がモヤモヤする感じ。
こんな心が曇りがかった自分なんか好きじゃない
早く忘れてしまわないと。


そんなことを思いながら数日経ったある日
私のSNSに1件のDM


?「紬やっほ! 今日バイト入ってる? 食べいこうと思ってるんだよね〜」


そう連絡して来たのは私が1年の時の
3年の先輩柊真(シュウマ)くん
かといって学校内では1度も会ったことは無いけど
時々こうしてDMで会話する仲


「こんにちは!今日はシフト入ってますよ〜 17時から21時までです!ぜひ来てくださいね」


そう返信してバイトに向かった
連絡は取り合う仲だけど顔も背格好も分からない人だから会っても柊真くんだって分からないだろうな
どうせ来ても話さないだろう そんな事を考えていた


その日はかなり暇だったから特にすることも無く
レジ前に立って待機していた
入口から背の高い顔が好みの男と少しチャラついた男が入ってきた

「いらっしゃいませ 何名様ですか?」

すると


「紬?」


そう呼びかけてきたのは背の高い方の男だった。
その時、ほんの少しだけ胸が熱くなった気がした。



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