冷酷な『黒豚伯爵』に見そめられました 〜双子の美姫の逆転契約婚〜

《プロローグ》




物語を始めましょう。

王と呼ばれる存在が指揮を取り、世界中のあちこちで領地を奪い合う戦争が繰り広げられていた頃のこと。
とある大国の貧しい男爵家夫妻は、双子の娘を授かりました。
姉妹は揃って国中に知れ渡るほどの美貌でしたが、性格はまるで真逆でした。

明朗快活だが皮肉屋で嫉妬深い妹、現実の美丈夫に憧れるアイリーン。
おっとり物静かだがひたむきで実直な姉、空想の中の美しい恋人に憧れ続けるレティーリア。

18歳になった姉妹がデビュタントを迎えると、待ち構えていたように縁談が持ち込まれました。
その縁談すら、姉と妹では条件がまるで真逆でした。

自分を美しく飾り立てることだけを生き甲斐にしてきた妹には、白馬に跨った美しい騎士から、溢れる彼の愛を囁きながらの求婚が訪れました。
一方で、書庫室にこもって本を読んでばかりの、空想の中にだけ現れる素敵な恋人を夢見る姉には………。







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