夜の帝王の一途な愛
「あゆみ、ちょっとここで待っていてくれ」
「わかりました」
彼は仕事の関係者との挨拶で、私の側を離れた。一人で待っていると、男性が声をかけてきた。  
「はじめまして、麻生社長の奥様ですね。自分は麻生社長の仕事仲間の工藤翔と申します。今度お食事でもいかがでしょうか?自分の連絡先です。」
どうしよう、受け取りたくないけど、受け取らないと失礼なのかな、麻生さん、早く戻って来て・・・
「あのう、すみません、ちょっと化粧室へ失礼いたします」
「エスコートさせてください」
工藤さんは腕を差し出し、エスコートしてくれようとした。
「ありがとうございます、でも大丈夫です」
 私は早くその場を離れたかった。慣れないヒールのため、転びそうになり、工藤さんに支えられる体制になってしまい、そのまま抱き寄せられた。
「このまま、二人で消えませんか?」
咄嗟に工藤さんの腕の中から抜け出し、化粧室へ逃げ込んだ。
「ここで待っています」
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