夜の帝王の一途な愛
震えながら彼は頷いた。
私は彼の手を握って、大丈夫と声をかけ、深呼吸する様に促した。
「大きく深呼吸してください」
彼は子供の様に頷き、深呼吸をした。
「そう、上手」
彼は落ち着きを取り戻した。
「俺はあゆみの子供かよ」
あゆみ?あ?私をわかってくれた、良かった、安心したのか涙が溢れて止まらなかった
「ごめん、びっくりしたよな」
「大丈夫です、次回の診察の時先生にお話ししましょうね」
彼は私を抱き寄せてキスをした。

病院へ行く日が来た。
彼が一人で診察室へ入り、先生に今まで起きた様子を話し始めた。
「あゆみを一瞬分からなくなりました、頭痛がして呼吸が苦しくなり、死ぬかと思いました」
「そうでしたか、どのくらいの時間記憶がなかったですか」
「数分だったと思います、そのあと手が震えて、あゆみに手を握って貰ったら震えが止まり急に記憶が蘇ったのです」
「一時的だと思います、頻度とどの位の時間記憶が無くなるか、多くなるようでしたら、また検査いたしましょう」
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