佐々木くんは見えるらしい
忘れられた神社と重たい背中
 もうすこしで夏休みがやってくるという暑い暑い日曜日、私は紗菜ちゃんとある場所に遊びに来た。

 学校の裏にある小さな山だ。

 山といっても本当に小さくてお散歩コースとしてもみんなに親しまれている。

 ここら辺の子は、みんな夏になるとこの山に来て虫を捕ったり、すごく水深の浅い川で遊んだり、木で作られたアスレチックで遊んだりする。

 私たちの目的は、単なる探検だったんだけど……

「ねぇ、優希ちゃん、ここって、こんな道あったっけ?」

 紗菜ちゃんが、なんだか不思議な横道を見つけた。

 というか、本当に道かな? とも思えるような木々の間にたまたま長い横穴が出来たみたいな。

 この辺りは何度も通ったことがあるけど、こんな道はなかったと思う。

「行ってみようよ、優希ちゃんっ」

 紗菜ちゃんはガッツポーズをして行く気満々だ。

「え? 本当に行くの?」
「大丈夫、大丈夫、だって、まだまだ明るいし、この山でクマが出たっていう話も聞かないから」
「そういうことじゃないと思うんだけど……」
「さっ、行くよ!」

 私が慎重に道を覗き込んでいると、紗菜ちゃんが私の背中をバンッと叩いて、前を歩いて行ってしまった。

 まったく、紗菜ちゃんってば、好奇心旺盛なんだから。
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