佐々木くんは見えるらしい
いつも難しいことばっかり言うから、まあ、そうなんだろうとは思ってたけど、やっぱり頭いいんだよね?

「秋兎おじさんが、家にいるなら自分で勉強しろってうるさいから、黙らせた」
「黙らせた、って……」

 やろうと思って簡単にできることじゃないよ。

 やっぱり佐々木くんのこと、よくわからない。

 ここに来ても、詩ちゃん、見つかった? とか聞けてない。

 だって、また佐々木くんに私の声が届かなくなったら怖いから。

「今日はアキさんは?」
「なんか夏休み終わりらへんにある祭りの準備で町会の集まりに行ってる」

 椅子に座り直しながら私がきくと、佐々木くんはどうでもよさそうに答えた。

「夏のお楽しみイベントかぁ……、いいなぁ、お祭り、行きたい」

 これは私のひとりごと。

 私、イベント大好き。

 あ、そうだ!

「イベントっていえば、今度ね、夏休みの後半に学校の行事でサマーキャンプっていうのがあってね、みんなで長野県に泊まりに行くんだよ。川遊びしたり、キャンプファイヤーとかしたり、楽しみだなぁ」

 わくわくした気持ちで私は佐々木くんに話した。

 海に行ったりする学校もあるみたいだけど、うちの学校は山に行くんだ。

 自然を学ぶっていうのが目的みたい。

「どこに行くって?」

 あれ? 佐々木くん、興味あるの? めずらしい。

 また「あっそ」とか言われると思ったのに、佐々木くんは分厚い本から顔を上げて、気になる様子でこちらを見てきた。

 さっきまで、ぜんぜんこっち見なかったのに。
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