心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~
 けど、それが……もし、絶対に失敗したくない相手だったとしたら?

「そうです。レニエラはオフィーリアに、全部聞いたんですね」

 ジョサイアはそれ自体は、そうだろうと思って居たんだと思う。どこか噛みしめるようにして言った。

「……ごめんなさい。私、今思うと、ジョサイアが何かを言おうとするたびに、先回りして聞かないようにしていたわ」

 ジョサイアは顔合わせで初めて会った時から、私に何かを伝えようとしていたと思う。

 けど、私はそれを敢えて、見ない振りをした。

 何も言わなかったのは、真面目な彼がどう言うべきかと言葉を選んでいたからだと、今では理解出来るけど……私はあの時に、彼には愛する人がいると思い込んでいた。

 そもそも、自分一人で生きて行くつもりだったし、もう二度と傷つきたくはなかったもの。

 だから、先回りしてこうだろうと決めつけた。

 オフィーリア様は、ジョサイアが自分に向き合わなかったと怒っていたけど、私だってジョサイアの居る方向へ向いてもいなかったので、彼だってそれから何も言えなかったに違いない。

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