心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~
 高級店の包み紙や、よく聞くようなお店の名前ばかり。ジョサイアは本当に金額なんて気にせずに、お金を使うんだわ。

 私はモーベット家の財産の額を知らないけど、彼の振る舞いを見ていれば、きっと天文学的な数字のはずよ。

「いいえ。私は事情も、何故かは良く知っておりますし、大丈夫ですわ。ジョサイアは結婚してからずっと、日中お店の空いている時間に、動くことは出来ませんでしたものね」

 ジョサイアが自分と向き合わなかった仕返しだとばかりに、新婚の彼を多忙にさせていたオフィーリア様の現在の恋人は、一国を動かすことの出来る大富豪。本当に、すごいわ。

「正直、レニエラがオフィーリアに会いに行ってくれて……本当に助かりました。僕も与えられた役割での仕事であれば、文句を言わずこなさねばなりませんし……」

 ジョサイアは私のおかげで、何度も繰り返し終わらない激務から解放されたと嬉しそうだ。

 彼女に会いに行った理由は彼がまだオフィーリア様に気持ちが残っているのではないかと、そう思ったんだけど……そんな心配なんて、まるで不要だったみたい。

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