心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~
 きっと、ショーンの予想した通り……私は、貴方が何度も言っていたことは、間違いだったじゃないと私は続けて言おうとした。

 ……それが勘に障ったのね。

 ショーンは自分が間違っていたことを、絶対に認めたくないんだと思う。彼にしてみたら、私は完全に下に居るべき存在で、自分には決して逆らわないと思われているから。

 けれど、それは今の私がショーンの過去の暴言を、何もかも間違いに出来たから言えることだ。

 そういった意味で、本当にジョサイアと……オフィーリア様には感謝しかない。

 過去の私はショーンに何度も何度も言われた言葉で、心は頑なになっていた。「お前なんて」と、いつも言われ続けて……ジョサイアから優しさを向けられても、それを受け取れなかったのは、ショーンがかけたこの呪いがあったからだ。

「それでは、私をモーベット侯爵邸へ帰してくれない? 私はもう、貴方の言うとおりに黙っていないわ。ショーン……私は変わったのよ。貴方の婚約者だったレニエラ・ドラジェは、もう居ないの」

「おい。うるさい。黙れと言っているだろう?」

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