心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

27 贈り物

 通常であれば貴族は、幼い頃に親に定められた相手と婚約をして、そのまま添い遂げるのが定石だ。

 私だっていくつも不満はあれど、婚約していた間はショーンとこのまま結婚すると思っていたし、彼だってなんだかんだ言ったりしても、そういったつもりだったはずだ。

 私とジョサイアの夫婦は、そういう意味では、とても珍しい道筋を辿って結婚をしたことになる。

 今思うと、自信を失って頑なになって……ジョサイアの話を聞かずに、結婚式を挙げてしまったことを、後悔している。

 雨のように浴びせられた祝福の言葉を、もっと、幸せいっぱいで楽しめば良かったと。

「……ここに居たんですか。レニエラ」

「はい。旦那様。どうですか? この新しいドレス」

 私ははしゃいだ子どものように、くるんと一回転したら、ジョサイアは微笑んで頷いた。

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