心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

05 契約締結

「……ねえ。ジョサイア。貴方は私に対して何か罪悪感を持っているかもしれないけど、気にしなくて良いわ。時間なくどうしようもなかったことも、何もかも、理解しているから」

 置かれていたお洒落な水差しを持って、私は彼の分の冷たい水を用意した。酔っ払った様子のジョサイアは、それを一気に飲み干したので、私は苦笑し、再度水を入れた。

「……本当に、何もかも理解してくれている? レニエラ。君はこの結婚に対し、大きな誤解を持っているように僕は思う」

 顔を赤くしたジョサイアは大きく息を吐き、私を見つめた。きっと、お酒を飲み過ぎて感情的になっているんだわ。

「ええ。ジョサイア。ちゃんと理解しているわ。貴方には、間に合わせの結婚相手が必要だった。私だって過去に婚約破棄されて一度は結婚を諦めた身、ジョサイアの気持ちはわかっているわ」

「いいや、君はわかっていないと思う」

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