心がきゅんする契約結婚~貴方の(君の)元婚約者って、一体どんな人だったんですか?~

06 ドレス

「え? 私たちを陛下が直々に、夜会へ招待して頂けたんですか?」

 無事につつがなく終了した豪華な結婚式から一週間。

 現在宰相補佐として働くジョサイアは、まだ関税問題の件で忙しいようで、彼と顔を合わせることが出来るのは、こうして出勤前の朝食を取る時だけだ。

「ええ。ですが、レニエラが行きたくないのなら、受けなくても構いません」

「そんな! 確かに、緊張しますけど……陛下に招待して頂けるなんて、とても光栄です」

 ちなみにモーベット侯爵家は侯爵位にはあるものの、建国から王家に仕えている名家なので他に類を見ないほどに重用され、私の実家であるドラジェ伯爵家の領地なんて猫の額に思えるほど、比較にもならないくらいの広い領地を持っている。

 そして、古くから成功している事業や商会もいくつか保有していて、婚姻成立後に見せてもらった財産の目録も見きれないくらいにたくさんあった。

 そう。つまり、私の現在の夫ジョサイアは国でも有数の資産家なのだ。つまり、なんでもない日の朝食だというのに、目の前には最高級の料理が並ぶ。

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