ももちゃんとUMA

ストーカー

「有誠くん野球しようぜ」

 最近上級生の中島という人がしつこく野球部に誘ってきて困っていると有誠は嘆いた。

「俺はカツオではない」
「知ってるわ」

 関は初心者向け羊毛フェルトキットで見本とかけ離れたかなしいモンスターを生み出しながら言った。

「最近は家にまで来るんだぞ。ストーカーじゃないか」
「おまいう」

 かなしいモンスターに、手芸用ボンドで目を取り付ける。ボンドがあちこちに付いて、ガビガビになった。かなしいモンスターのかなしみが増した。

「羊毛フェルト、始めたんだな」
「お前オレに興味あったんだな」

 嫌味でも何でもなく、有誠が関のことに関心を示すのは珍しい。
 関は顔にこそ出さないが、少し嬉しかった。

「いや興味というか。俺の机がベタベタなんだ」

 垂れた手芸用ボンドが有誠の机に付き、そのボンドが余った羊毛を巻き込んでふわふわしている。

「できれば、自分の席でやって欲しい……」
「ああ、そうか……ごめんな……」

 友達と思っているのは自分だけで、もしかしたらストーカー予備軍ぐらいに思われているのかも知れない。と、関は妙に悲観的になった。

 かなしいモンスターは、SNSで少しだけ評判になった。
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