契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


「あの、蓮斗さん。ご両親は、この結婚については……?」

「澪花と一緒になったことは、両親には話してある」

「そうでしたか。なにも、言われませんでしたか?」


 私の言いたいことが伝わったのだろうか。蓮斗さんはわずかに口角を上げ「大丈夫」と微笑む。


「これまで、親の言うことはなんでも聞いてきた。だから、結婚相手くらいは自分で決めたいと話した」


 気のせいかと思うほど一瞬、蓮斗さんの表情に陰りが見えた。でもすぐに穏やかな笑みに戻る。今のは見間違いだろうか。


「でも、なにも心配いらない。近いうちに日程の候補を知らせるから、都合の良さそうな日を教えてほしい」

「わかりました」


 大丈夫ですと口にしたものの、やっぱり不安は拭えない。

 それでも、蓮斗さんとの契約結婚の役割を果たすため、私は蓮斗さんのご両親に受け入れてもらう努力をしなくてはならない。

 ベッドから出ていく蓮斗さんの姿をぼんやり見ながら、そんなことをぼんやりと考えていた。

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