契約夫婦はここまで、この先は一生溺愛です~エリート御曹司はひたすら愛して逃がさない~【極甘婚シリーズ】


「冗談、大丈夫だよ」

「本当ですか?」

「昨日、なかなか寝付けなかったようだからな」

「はい。すみません、私が眠れないのに、付き合わせてしまったようになって」


 蓮斗さんもきっと寝不足だよね。


「俺は澪花の寝顔眺めて幸せだったからなにも問題ない」


 そんな言葉にぴょんと鼓動が跳ねる。

 不意に私がどきりとすることを言うから、油断しているとそれが顕著に表に出てしまう。

 今だって凝りもせず顔が熱くなってきているし……。

 そんな様子の私を観察して、満足そうにふっと蓮斗さんが笑うまでがセットだ。


「準備ができたら、そろそろ向かうか」

「はい、そうですね」


 顔合わせの席は、蓮斗さんが櫻坂エリアの高級割烹店のお店を予約してくれている。

 事前にどんなお店か予習しておこうとネットで調べてみたら、相当な高級店のようで詳細は調べられなかった。

 櫻坂のお店だから、間違いなく敷居をまたぐだけで緊張するはずだろうけど……。

 とにかく粗相のないように気を付けなくてはならない。

 こんなことばかりで頭がいっぱいで、だから昨夜もなかなか寝付けなかったのだ。

 今日は蓮斗さんの所有する車を、専属の運転手の方が運転して目的地まで向かってくれることになっている。

 飲酒をする可能性があるし、自分では運転しないこともよくあることらしい。

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