優しい鳥籠〜元生徒の検察官は再会した教師を独占したい〜
その時、翼久はつぐみと昌也の間に割って入る。つぐみを守るかのような仕草に、ドキッとした。
「お伺いしたいのですが、あなたはどうやってこのマンションに入ったのですか?」
「ここの居住者がいたから、開いた時に一緒に入ったんだよ」
「それは共連れという行為ですね。場合によっては罪に問われることをご存知ですか?」
「な、何言ってーー!」
「別れを告げられた女性のマンションに勝手に侵入。暴言を吐いて暴力まで振るったとしたらどうなると思いますか?」
「な、何言ってるんだよ! ただ肩に触っただけだろ⁈」
「触っただけ? これだけつぐみさんを傷つけておいて、よくそんなことが言えますね。つぐみさんを大切に出来ないのなら、二度と彼女の前に現れないでください」
これが翼久の本職なのかも知れないが、自分のために戦ってくれる姿を見て涙が出そうになる。
「お、お前は誰なんだよ! さっきから態度でかいし!」
そう言われて、翼久はちらっとつぐみを見てから不敵な笑みを浮かべる。
「俺はつぐみさんの昔の恋人で、今の恋人ですよ」
「や、やっぱり浮気じゃーー」
「何を言ってるんですか? "恋人"というのは、恋の思いを寄せる相手のことをですよ。ちゃんと辞書を引いてください。あなたはもうつぐみさんの恋人ではありませんよ、今の恋人は俺ですから」
「何を言ってーー」
「あなたはもっとつぐみさんを大切にすべきでした。それをしなかったのはあなたの驕りです。さぁ、お引き取りください」
昌也は悔しそうに唇を噛んだが、大きく息を吐いてから、
「わかったよ、じゃあな、つぐみ」
と一言呟いて、階段を降りていった。
「大丈夫? つぐみさん」
翼久は振り返るなり、すぐにつぐみを抱きしめる。それに応えるように、つぐみも翼久に抱きついた。
「すごいね……なんか翼久くん、すごくカッコよかった」
「一応法律が本職だから。でもまだまだ俺なんかヒヨッコだけどさ」
「ううん、説得力があったもの。私だけなら、もしかしたら流されていたかもしれない」
つぐみは部屋の鍵を開け、翼久を中へと招き入れる。しかし玄関ドアに体を押し付けられ、唇を塞がれた。
「俺がいて良かった?」
「いてくれて良かったし、これからもずっといてほしい……」
すると翼久が少し寂しそうな顔になる。
「俺もつぐみさんを縛りつけちゃうかも」
「さっきの言葉を気にしてるの? そうねぇ……でも翼久くんの鳥籠は温かくて居心地が良さそうだし……それに春のツグミはたくさんさえずるんでしょ? きっと私も言いたいことをたくさん言っちゃうかもしれないよ」
温かい春の鳥籠。そこはきっと優しさと思いやりに溢れている。
「そんなさえずりなら、ずっと聞いていたいなーーそれに夜にはまた違う鳴き方をさせてあげるけど」
「本当に翼久くんはエッチなんだから」
二人のキスが深くなっていくたびに、静かな部屋に響く息遣いが大きく耳に響く。
「夜まで待てないって言ったら?」
「……一回だけね」
二人はクスクス笑い合うと、そのまま玄関に倒れ込んだ。
「お伺いしたいのですが、あなたはどうやってこのマンションに入ったのですか?」
「ここの居住者がいたから、開いた時に一緒に入ったんだよ」
「それは共連れという行為ですね。場合によっては罪に問われることをご存知ですか?」
「な、何言ってーー!」
「別れを告げられた女性のマンションに勝手に侵入。暴言を吐いて暴力まで振るったとしたらどうなると思いますか?」
「な、何言ってるんだよ! ただ肩に触っただけだろ⁈」
「触っただけ? これだけつぐみさんを傷つけておいて、よくそんなことが言えますね。つぐみさんを大切に出来ないのなら、二度と彼女の前に現れないでください」
これが翼久の本職なのかも知れないが、自分のために戦ってくれる姿を見て涙が出そうになる。
「お、お前は誰なんだよ! さっきから態度でかいし!」
そう言われて、翼久はちらっとつぐみを見てから不敵な笑みを浮かべる。
「俺はつぐみさんの昔の恋人で、今の恋人ですよ」
「や、やっぱり浮気じゃーー」
「何を言ってるんですか? "恋人"というのは、恋の思いを寄せる相手のことをですよ。ちゃんと辞書を引いてください。あなたはもうつぐみさんの恋人ではありませんよ、今の恋人は俺ですから」
「何を言ってーー」
「あなたはもっとつぐみさんを大切にすべきでした。それをしなかったのはあなたの驕りです。さぁ、お引き取りください」
昌也は悔しそうに唇を噛んだが、大きく息を吐いてから、
「わかったよ、じゃあな、つぐみ」
と一言呟いて、階段を降りていった。
「大丈夫? つぐみさん」
翼久は振り返るなり、すぐにつぐみを抱きしめる。それに応えるように、つぐみも翼久に抱きついた。
「すごいね……なんか翼久くん、すごくカッコよかった」
「一応法律が本職だから。でもまだまだ俺なんかヒヨッコだけどさ」
「ううん、説得力があったもの。私だけなら、もしかしたら流されていたかもしれない」
つぐみは部屋の鍵を開け、翼久を中へと招き入れる。しかし玄関ドアに体を押し付けられ、唇を塞がれた。
「俺がいて良かった?」
「いてくれて良かったし、これからもずっといてほしい……」
すると翼久が少し寂しそうな顔になる。
「俺もつぐみさんを縛りつけちゃうかも」
「さっきの言葉を気にしてるの? そうねぇ……でも翼久くんの鳥籠は温かくて居心地が良さそうだし……それに春のツグミはたくさんさえずるんでしょ? きっと私も言いたいことをたくさん言っちゃうかもしれないよ」
温かい春の鳥籠。そこはきっと優しさと思いやりに溢れている。
「そんなさえずりなら、ずっと聞いていたいなーーそれに夜にはまた違う鳴き方をさせてあげるけど」
「本当に翼久くんはエッチなんだから」
二人のキスが深くなっていくたびに、静かな部屋に響く息遣いが大きく耳に響く。
「夜まで待てないって言ったら?」
「……一回だけね」
二人はクスクス笑い合うと、そのまま玄関に倒れ込んだ。