この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜

24話  絶体絶命

 バキッ、と硬いものが折れる音が響く。
 しかし折れたのは、レーヴェの前足ではなく、それを殴った枝の方だった。
 つまり窮鼠の渾身の一撃は、猫にちっともダメージを与えられなかったわけだ。
 
「タマコ嬢、いけません! 逃げてっ……!!」
『ああ、もう! しょうがありませんわねっ!』

 メルさんは真っ青な顔をして叫び、ソマリは私を引っ叩こうとした巨大な前足に噛み付いた。
 私の攻撃は屁でもなかったようだが、ソマリの牙はそれなりに効いたらしく、レーヴェが一瞬怯む。
 すかさず巨体の下から抜け出したメルさんが、その喉に剣を突き立てようとしたが……

「うあっ……!!」

 ソマリの牙から逃れようと振り回された前足が、メルさんを吹っ飛ばしてしまった。

「ぎゃあ! メルさんっ、危ないいいっ!!」

 彼女の体が崖に向かってゴロゴロ転がっていくのを目にした私は、無我夢中でタックルをして止める。
 それにほっとしたのも束の間、ついに振り払われたソマリも加わり、私達は崖の上で追い詰められてしまった。

『まずいですわね! 非常に、まずいですわ!』

 ソマリがこれでもかと毛を逆立て、フーッ! と牙を剥く。
 メルさんの剣は、私達とレーヴェのちょうど中間くらいの位置に転がっていた。
 素人目に見ても後者の間合いだ。
 もはや剣を取り戻すのは叶わないと判断したらしいメルさんが、私とソマリを腕の中に隠して我が身を盾にしようとする。
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