この異世界ではネコが全てを解決するようです 〜ネコの一族になって癒やしの力を振りまいた結果〜

28話 賢明なレーヴェ

 二日前に遭遇した個体が虎サイズだとしたら……

「こ、こっちは、ライガーサイズだ……!」

 とにかくどデカいそのレーヴェが、ちょこんと……いや、どしーん! と豪快におすわりをしたために、私達の体はコントみたいにぴょんと跳ねた。
 足下には、月桂樹みたいな楕円型の葉っぱがたくさん落ちている。
 大きなレーヴェはそれをふみふみしながら、意外にも可愛らしく首を傾げて問うた。

『ねえねえ、人間と小さな同朋──ミットーさんを、知ってるにゃ?』
「「『……知ってる』」」

 にゃ、という語尾は可愛らしいが、その声は成獣らしく低く艶やか──俗に言う、イケボである。
 しかし、聞き覚えのある名が出たことで、私とミケとネコには、このレーヴェの素性に心当たりができた上……

『おれ、〝チート〟。ミットーさんがくれた名前にゃ』

 ご丁寧に、本人が名乗ってくれた。
 チートというのは、ミットー公爵が若かりし頃に拾い、飼い慣らすのに失敗したレーヴェの名前だ。
 今は、ネコの毛玉から進化してベンガルっぽい姿になった、ネコ一家の末っ子が名乗っている。

「っていうか、レーヴェの言葉がわかる……! 私達って、猫科は全部いける感じですかね?」
「まさか……タマとネコは、昨日のレーヴェともしゃべれたのか?」
『いやいやいや! あやつは言葉が通じているようには見えんかったが!?』
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