契約的関係ですよ、旦那さま!①~身代わりの結婚は、契約結婚のはずですが!?~
「もちろん、こちらも美麗を全力で捜す。……だから、頼めないだろうか?」

 普段は堂々としているお祖父さまの弱々しい態度。

 私の中では、見たくないものだったのだろう。

 そう思いつつも、私はこれ以上お祖父さまを、家の人間を困らせてはならないと判断する。

「承知、いたしました」

 静かに頷いて、そう返事をした。

「ただし、一度お会いしてから決めたいと思います。……あちらさまも、いきなりのことで戸惑っていらっしゃるでしょうから」

 ゆるゆると首を横に振ってそう言えば、お祖父さまは大きく頷く。

 それは構わないということだろう。

「では、早急に見合いの場を整えよう。……先方のほうには、私からお願いしておく」
「……よろしく、お願いしますね」

 ペコリと頭を下げて、お祖父さまのお部屋を出て行く。

 ぱたんと閉まった扉の音が、やたらと響いて聞こえてくる。

 私の心臓の音は、やたらと大きい。……だって、そうじゃないか。

(いきなり身代わりで結婚しろって、どんなフィクション……?)

 宝生 史花(ふみか)、二十二歳。

 失踪した従姉の代わりに、いきなり政略結婚をすることになってしまいました。
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