冷酷な御曹司は復讐愛に囚われる~没落令嬢の甘く淫猥な夫婦生活~


何日かぶりに男が私を抱いた。

うしろから入れられると、つい逃げるように体を前に動かしてしまう。
いつもならそんな私を抱きしめて無理矢理に押し進めてくるはずなのに、男は今夜はぴたりと動きをとめた。

「どうした」
「なんでもないわ」
「……そうか」

再び動きが始まり私は息を吐く。
律動が始まると無意識にお腹を押さえてしまう。片腕になった拍子にバランスを崩してシーツに顔をうずめた。

とても敏感に感じるのは、久しぶりだからだろうか。いつも以上に存在感があるような気がした。
けれども今夜は我を忘れることがなかった。男とのこんな情交は初めてだった。

そんな私の異変に気づいたのか、男が動きをとめて私を仰向けにする。

「今夜はどうした」
「別に。そんな日もあるでしょう」

不意に男の手が伸びて顎を掴まれて、食い入るように見つめられる。
目をそらしたかったが、隠していることに気づかれるわけにはいかないのでじっとその視線をとらえる。
すると男は目をそらした。まるで怯えるように――そんな例えが浮かぶような動きだった。

いつも尊大な態度でいる男らしからぬ様子に私がぼうとなっていると、男が不意に真剣な眼差しで私を見つめ返した。そして私の頬に指を添えると唇に彼のそれを優しく落とした。まるで小鳥がついばむように角度を変えながらキスを繰り返す。
それまでの荒々しいものとは打って変わった穏やかなその動きに、私は戸惑いつつも心地よいくすぐったさを覚える。
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