なぜか彼氏ができない
「なんでって、マギが煽ったんだろ?」

いつもの〝リンリン〟と全然違う、男っぽい熱のある瞳。
絡められた舌がなめらかに口内を刺激してきて、酔った頭がボーッとする。

「マギってそんな顔するんだな」
それはこっちのセリフ。

「かわいい」

身体の奥の、女の部分がキュンと疼いてしまう。

「あ……んっ」

彼の唇が、まるで愛情があるみたいに全身を這う。
これは私が煽るようなことを言ったから、あくまでも〝友だち〟としての延長の行為なの?
私と同じ熱があるように感じるのは、ただの勘違い?

「きれい、マギ」

そんな風に耳元で囁くなら、あなたの気持ちを聞かせてよ。

「マギ、さみしいなら俺が埋めてあげるよ」

言ったでしょ? さみしいのは身体だけじゃないの。心だって欲しいの。

「あっ……」

久しぶりだからか、好きな男に抱かれて昂っているのか、意識が簡単に飛びそうになってしまう。

「イキそうなんだ。かわいいな、マギ」

そう言って私の胸の先端に口づける。
そんな風に、男の部分なんて見せないで——そう思いながら、意識が遠のく。

「他の男になんて抱かせない」

林志朗の言葉は、はっきりとは耳に届かなかった。

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