続・泣き虫の凛ちゃんがヤクザになっていた2

14話 後編

「思ったより時間掛かっちまった……」
 俺は百貨店から出て、駐車場に停めている車へと小走りで向かう。
 腕時計を確認すると、もう閉店作業が済んでいる頃の時刻だ。
 今日は早く迎えに行くつもりだったのに――。
 
 俺は幸希に電話をしようと、スマホを取り出した。すると、丁度その時幸希から電話が掛かってきた。
「ああ、幸希。ごめん、今からそっちに向か――」
「よう、酒々井」
 
 電話の向こうから聞こえてきた声は、幸希のものではなかった。
「――は?」
 俺はその声を聞いた瞬間、思考が停まった。小走りだった足も、思わず止めてしまう。

「な、何で……、何で、お前が……?()()
 電話の向こうから聞こえてきた声は、間違いなく望月のものだ。
「何で、お前が幸希のスマホ……」
 俺は徐々に動悸が激しくなり、スマホを持つ手がブルブルと震える。

「ああ、ちょっと借りたんだよ」
「なっ――!?お前っ、彼女に何した!!?」
「別に何もしてねぇよ。……今のところ()な」
 望月が「ほら」と言うと、電話の向こうからガサッという物音が聞こえた。
「……り、りん、ちゃん」
 すると、か細く震えた幸希の声が聞こえた。
「――幸希っ!?」
 幸希の声が聞こえて、俺は彼女が無事だったという安堵と共に、彼女が望月に拉致されたという事実に焦りを覚えた。
 
 動揺している俺に対して、「ほらな」と望月は言う。
「……何が目的だ?」
 俺は望月を刺激しないように、恐る恐る尋ねた。
「流石酒々井くん、話が早いねぇ」
 望月は俺を挑発するように笑う。
「女を返してほしいんだったら、一人で俺の事務所に来い。もちろん、このことは誰にも言わずにな。もし、逃げたり、誰かに告げ口したら――、分かるだろ?」
 望月は嘲り笑う。それに対して、俺はどんどんと怒りが込み上げてきた。

 その時、俺は後ろから人の気配がすることに気づき、咄嗟に振り返る。
 そこには、望月の子分が四人、俺のことを睨みつけていた。
「事務所までは、そいつらに案内してもらえ」

 どうやら、望月は用意周到に、俺を監視するための子分を手配していたようだ。
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