氷の王子様は子守り男子
吉野くんとお姉ちゃん
その日の夜。我が家のメンバーにたっくんを加えた晩ご飯を終えたところで、お姉ちゃんがやってきた。
「知世ーっ。いつも巧のこと任せてごめんねーっ!」
「ぶはっ! お姉ちゃん、苦しいよ」
謝りながら抱きついてくるお姉ちゃん。
私が小さかった頃からやってる、定番のスキンシップだ。
そしてやってきたのは、お姉ちゃんの旦那さんの正夫さんも一緒だった。
「巧、いい子にしてたかい?」
「うん。知世お姉ちゃんと一緒にお絵描きしたの!」
たっくんははしゃぎながら、さっき私と一緒に描いた絵を見せる。
たっくんの好きな変身ヒーローの絵だ。
「知世ちゃん、本当にごめんね。本当なら、僕らで面倒見なきゃいけないのに。お義父さんも、すみません」
正夫さんは、私とお父さんに頭を下げる。
「遠慮なく頼りなさい。二人とも、しばらく仕事が忙しくなりそうなんだろ」
「はい。もしかすると、今日みたいなことが増えるかもしれません。本当にすみません」
正夫さん、私たちに頼るのを悪いと思ってるみたい。けど、みんな迷惑なんて思ってないから。
「私は、たっくんを迎えに行くのも一緒に遊ぶのも楽しいんです。毎日だっていいですよ」
「ありがとう。けどさすがに、そこまで頼むことはないようにするから。僕も、ちゃんと巧のお迎えに行きたいし、一緒の時間は作りたいからね」
「わかりました。けど忙しい時は、いつでも言ってください」
そういえば、ふと吉野くんのことを思い出す。吉野くんは、毎日日向ちゃんを迎えに行ってるんだよね。
「ねえ、お姉ちゃんに正夫さん。たっくんと同じ組にいる、日向ちゃんって知ってる? それに、そのお兄さん」
「えっ、日向ちゃん?」
お姉ちゃんはほんの一瞬だけ考えて、それからすぐに頷いた。
「知ってる知ってる。あのイケメンな子よね。知世と同じ学校の制服を着てたし、お兄さんが毎日迎えに来るって珍しいから、前に声かけたことあるわよ。巧と日向ちゃんは仲良いから、その挨拶もかねてね」
「えっ! お姉ちゃん、吉野くんと話したことあるの!?」
「ええ。って言っても、巧をよろしくっていう、挨拶くらいだけどね」
まさかお姉ちゃんと吉野くんに接点があったなんて、思いもしなかった。
「たっくんも、何度か遊んでもらってるんだってね」
「そうなのよ。面倒見がよくてしっかりした子ね。学校でもそうなの?」
「うーん、どうかな?」
確かに吉野くんはしっかりしているイメージがあるけど、あんな風に子供の相手をするのは、普段の姿からは想像できないよ。
「もしかして知世、仲良いの? ボーイフレンドとか?」
「へっ? ち、違うよ!」
「本当? 言っとくけど、彼氏にするならああいう子がいいわよ。気遣いできて優しそうじゃない」
「か、彼氏!? 」
何を勘違いしたのか、ニヤニヤするお姉ちゃん。
けど、そんなんじゃないってば。
私が吉野くんみたいなイケメンと付き合えるわけないし、そんなことになったら吉野くんファンから吊るし上げられそう。
「そもそも吉野くん、女の子と付き合うより、日向ちゃんと遊ぶ方が楽しいんじゃないの?」
もちろん、妹を可愛がるのと恋愛は、別の話。
だけど日向ちゃんへの溺愛ぶりを思うと、恋愛よりも日向ちゃんの方が大事って言いそうな気がした。
「知世ーっ。いつも巧のこと任せてごめんねーっ!」
「ぶはっ! お姉ちゃん、苦しいよ」
謝りながら抱きついてくるお姉ちゃん。
私が小さかった頃からやってる、定番のスキンシップだ。
そしてやってきたのは、お姉ちゃんの旦那さんの正夫さんも一緒だった。
「巧、いい子にしてたかい?」
「うん。知世お姉ちゃんと一緒にお絵描きしたの!」
たっくんははしゃぎながら、さっき私と一緒に描いた絵を見せる。
たっくんの好きな変身ヒーローの絵だ。
「知世ちゃん、本当にごめんね。本当なら、僕らで面倒見なきゃいけないのに。お義父さんも、すみません」
正夫さんは、私とお父さんに頭を下げる。
「遠慮なく頼りなさい。二人とも、しばらく仕事が忙しくなりそうなんだろ」
「はい。もしかすると、今日みたいなことが増えるかもしれません。本当にすみません」
正夫さん、私たちに頼るのを悪いと思ってるみたい。けど、みんな迷惑なんて思ってないから。
「私は、たっくんを迎えに行くのも一緒に遊ぶのも楽しいんです。毎日だっていいですよ」
「ありがとう。けどさすがに、そこまで頼むことはないようにするから。僕も、ちゃんと巧のお迎えに行きたいし、一緒の時間は作りたいからね」
「わかりました。けど忙しい時は、いつでも言ってください」
そういえば、ふと吉野くんのことを思い出す。吉野くんは、毎日日向ちゃんを迎えに行ってるんだよね。
「ねえ、お姉ちゃんに正夫さん。たっくんと同じ組にいる、日向ちゃんって知ってる? それに、そのお兄さん」
「えっ、日向ちゃん?」
お姉ちゃんはほんの一瞬だけ考えて、それからすぐに頷いた。
「知ってる知ってる。あのイケメンな子よね。知世と同じ学校の制服を着てたし、お兄さんが毎日迎えに来るって珍しいから、前に声かけたことあるわよ。巧と日向ちゃんは仲良いから、その挨拶もかねてね」
「えっ! お姉ちゃん、吉野くんと話したことあるの!?」
「ええ。って言っても、巧をよろしくっていう、挨拶くらいだけどね」
まさかお姉ちゃんと吉野くんに接点があったなんて、思いもしなかった。
「たっくんも、何度か遊んでもらってるんだってね」
「そうなのよ。面倒見がよくてしっかりした子ね。学校でもそうなの?」
「うーん、どうかな?」
確かに吉野くんはしっかりしているイメージがあるけど、あんな風に子供の相手をするのは、普段の姿からは想像できないよ。
「もしかして知世、仲良いの? ボーイフレンドとか?」
「へっ? ち、違うよ!」
「本当? 言っとくけど、彼氏にするならああいう子がいいわよ。気遣いできて優しそうじゃない」
「か、彼氏!? 」
何を勘違いしたのか、ニヤニヤするお姉ちゃん。
けど、そんなんじゃないってば。
私が吉野くんみたいなイケメンと付き合えるわけないし、そんなことになったら吉野くんファンから吊るし上げられそう。
「そもそも吉野くん、女の子と付き合うより、日向ちゃんと遊ぶ方が楽しいんじゃないの?」
もちろん、妹を可愛がるのと恋愛は、別の話。
だけど日向ちゃんへの溺愛ぶりを思うと、恋愛よりも日向ちゃんの方が大事って言いそうな気がした。