略奪☆エルダーボーイ
黒瀬さんを保健室に連れていき、手当手を受ける。
顔にボールが当たったけど、特に脳震盪が起きてることは無かったみたい。
傷はそんなに深いものじゃないらしく、すぐに出血は止まった。
口元に絆創膏を貼って貰った後、ぶつかった所を冷やしながら体育館へと向かっていた。
「黒瀬さん、痛くないですか?」
「多少はね。まぁでも、痛み止めも飲んだし大丈夫」
アイシングを頬に当てながら、私を安心させるように笑う黒瀬さん。
痛み止めを飲んだって言っても、まだ効き目は出てないはず。
絶対痛いはずなのに・・・無理しちゃって・・・。
「それに、この試合だけは絶対に負けらんないからね」
「それもそうかもしれませんが・・・」
この試合で負けたら、相手チームの男子と遊びに行かなきゃいけなくなる。
知りもしない男子と遊びに行くとか最悪すぎるけど・・・。
「・・・あのさ、伊吹ちゃん。もしかして、ただ遊びに行くだけ、とか思ってない?」
「え?違うんですか?」
「はぁ・・・全然違うよ。アイツらの言ってる意味は──・・・。まぁ、言わなくていいか。負けるつもりないし」
何かを考えながら言葉を途中でやめる黒瀬さん。
遊びに行くんじゃない・・・って、どういうこと?
「・・・さぁて、試合状況どうなってるかな」
話題を逸らすようにそう呟きながら、閉じられていた体育館の扉を開ける。
すぐに試合状況を見ると、どうやら同点のようだ。
「うん、上出来。──監督、今戻りました」
「黒瀬、戻ったか。どうだ?」
「問題ありません。血も止まりました」
監督が私の方を見てくる。
多分、黒瀬さんが言っていることが正しいのか確認を取ろうとしているんだろう。
「はい。止血も確認済みですし、ぶつかった頬もアイシングしてだいぶ赤みも引いてきました。念の為に痛み止めも飲んでますし、問題ありません」
「・・・そうか、すぐ行くぞ。準備しとけ」
「はい 」
私の口添えですぐに試合に戻ることになった黒瀬さん。
だけど、今のラリーが終わるまでは待機になりそうだ。
「黒瀬さん、ギリギリまで頬冷やしててください。試合出る時預かりますから」
「ん、わかった」
そう言って、試合に出ていない控えの選手達がいる輪に入っていった。