クローン人間の僕と人間の彼女
それから俺の身体は順調に回復し、朋も毎日顔を出し、俺は退院の日を迎えた。


「一ケ月後、ちゃんと検査に来て下さい。痛い思いをせずに治療する事が一番ですから」

「…はい」


医者にしつこく念を押され、病室の荷物をまとめていると、花束を持った朋が現れた。


「退院おめでとう!」

「…ありがとう」

「ねぇ、これから退院パーティー…」


朋が言い掛けている言葉を無視して、俺は言った。


「ごめん、これから功太達と恒例の飲み会があるんだ」

「…そっか。楽しんでね」


朋は寂しそうに言った。


「あぁ…。それから、俺暫く朋んちには行けないから」


朋は今、どんな顔をしている?

俺は朋の顔を見る事が出来なかった…。


「な…んで?」

「功太達との約束。会社をやるの、知ってるだろ?」

「じゃあ…それが終わったら、又、前みたいに…」

「会社創立しても、俺、暫くは忙しいと思うからっ」


俺は声を振りし絞って言った。


なぁ、朋、もう言わせないでくれよ…。


これ以上、俺に、言わせないでくれよ…。


「分かった!じゃあ帰るからっ」


結局俺は一度も朋の顔を見る事は出来ず、朋は凄い勢いで病室を飛び出して行った…。

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