クローン人間の僕と人間の彼女
俺は無造作に置かれたままの朋の荷物を、少しずつ纏める。

これで、本当に朋と最後になってしまう……。

最後の荷物を纏めると、俺は伊集院の家に向かった。


ーピンポン


「どうぞ」


俺は玄関に向かう途中、二階の朋の部屋に目をやった。

カーテンが閉められた部屋…。

朋は居るのだろうか…?

玄関を開けると、伊集院が立っていた。


「これ…朋さんの…」


伊集院は差し出した荷物を受け取らずに言った。


「後でいいわ。とりあえず上がって」


居間に入ると、そこにはソファーに座る朋の姿があった…。


「適当に座って」


俺は朋の前に座る。

朋は出て行った日とは違う、穏やかな表情をしていた。

伊集院はお茶を持って来ると、朋の隣に座って言った。


「朋から話しは聞いたわ」

「…はい」

「どうするの?」

「僕は…後一年半も生きられない身体です。朋さんとはもう……」


俺は


これ以上


何も言えない……。


朋が居る前で


これ以上……


黙り込む俺に、伊集院は言った。


「私が聞きたいのは…朋との事じゃないわ」

「…えっ?」

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