クローン人間の僕と人間の彼女
「そう言えばこの前さ」


近藤は下らなくて、面白い話を必死にしていた。

でも、俺はその話を上の空で聞く。

正直、土地が手に入る入らないより…


”朋が何故来なかったのか?”


そればかりを考えていた…。


最後に会った時、あんなに楽しそうだったのに…。


もし朋が毎日病院に来ていたら、俺はこんなに朋の事で、胸がいっぱいにならなかっただろう。

土地の事も、朋と深く関わらないと決めた事も、どんどん崩れていっている気がした。



明日…。
行ってみるか……。


そして翌日


ーピンポン


「はい。あっ、森本さん…」


インターフォン越しに、伊集院の気まずそうな声が聞こえた。


「あの、いいですか?」

「私もちょっと気になる事があるの…。入って」


門から玄関に向かう途中に見える、二階の朋のカーテンが閉まったままだ。


やっぱり、何かあったのか…?


玄関を開けて貰うと、いつもある朋の姿は無くて、伊集院が複雑そうな顔をして立っていた。


「…朋さんは?」

「とりあえず、上がって…」


伊集院にリビングに連れて行かれ、ソファーに座ると少しの間、重苦しい沈黙が続いた。


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