しょっぱい後には甘いもの。
「しないよ。」
あまりの温度差に涙は止まり、涙と掃除の汗で、化粧もドロドロでぐちゃぐちゃの顔面の汚さ。
「しない選択肢あるかよ。」
そう言いながら寝てる私に覆い被さり、左手で身体のバランスを取りながら、またしてもチュッと唇を重ねる。
どうなってんのよ、一体。
どうみても弱っている私に、こんな行為をした所で申し訳ないけど全くにゃんにゃんを求める筈がない。
「何か食った?腹減った?何食う?」
そしてチューをした所でにゃんにゃんの態度も何一つ変わっていない。
私達の年齢が関係しているのか、既に一度終わった関係が意味しているのか、チューなんてもはや海外の挨拶レベルかもしれない。
「Uber Eats取ろうぜ。美穂の好きなものでいいよ。何食いたい?」
「…サラダボウル。」
「やっぱり牛タン弁当か?何飲む?」
「…白湯。」
「了解、マンゴージュースね。俺、バナナショコラ。」
会話のキャッチボール何処いった!!
あっれぇ?私のボール、どこに飛んでいってるのかなぁ?
あまりに会話が成立しないので試しにキチンと答えてみる。
「デザートは?」
「ワッフル。」
「了解、俺ティラミス。」
どういうこと!?
この会話は成立してる!?
そもそも品物違うけど店は同じなのか!?
「でも次は何処か食いに行こうな。」
次もあるの!?ずっと横になっている私の隣で注文が完了したのか、ネクタイを緩めながら人差し指で私の涙をスッと拭ったのは気付いた。
そもそもいつまでいていいのかわからない。
こんな事をしている暇も正直ない。
早くしないとあの孝則とのアパートに私の私物が沢山あるんだ。
私よりももっと簡単に処分されてしまう。
「…にゃんにゃん、私明日住むところ探したいんだけど、良い不動産知ってる?」
せっかく綺麗にしたリビングに、ネクタイと脱いだYシャツを平気で床に転がし、寝室から部屋着に着替えてきたにゃんにゃん。
「おぉ知ってる。明日紹介してやるよ。」
「ありがとう。」
届いたUber Eatsの沢山の食べ物を広げて、まるで女子会のようなメニュー。
「牛タンおいしっ!」
「だろ?ここの牛タンマジでハマるんだよ。」
うん…。
美味しい…。美味しい…けど、直ぐに膨れる胃袋というより、胸が時折苦しくて入らない。
そりゃそうだよ。
明日から一人で生活しなきゃいけないんだから…。
朝も夜も…一人なんだから。