純愛初夜、次期当主は初恋妻を一途な独占愛で貫きたい。
「お帰りなさいませ! 花暖さま!」
「ただいま帰りました。もう、“さま”は辞めてよ。私は、様をつけられるような身分じゃないんだから」
「そんなことありませんよ、旦那様もお待ちしてますよ……案内します」
メイド長は、書斎まで案内してくれて書斎の中から変わらず優しい声が聞こえてドアを開ける。
「旦那様、花暖です。ただいま戻りました」
「え? 花暖ちゃん、おかえりなさい。会いたかったよ」
お辞儀をして顔を上げると前と同じ笑顔を見せる旦那様……響也さまがいらっしゃった。
「花暖ちゃん、旦那様じゃなくてお父様って呼んでって言ったじゃないか」
「そうでした……でも、畏れ多いです」
「気にしなくていいんだよ。あ、志保も今日はいるからそろそろ――」
そう旦那様が言いかけた時、突然ドアが開いた。